スーパーカミオカンデは何を観測しているのか?チェレンコフ光とは?

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2018年6月から水漏れのために止水工事を行っていたスーパーカミオカンデですが、無事に止水補強工事や光電子増倍管400本弱の交換や増設が完了し、現在は底部の工事を進めているとのことです。

そんなスーパーカミオカンデのタンクの内部が2006年以来の12年ぶりに報道関係者向けの見学会により公開されたわけですが、なんと羨ましいことか!

私も人生で1度は生で見てみたいと思うわけなんですが、皆様も同じ気持ちではないでしょうか。

タンク全面に設置されている光電子増倍管の絶景には言葉を失うような美しさを感じます。

NHKが公式に公開している映像⇩
https://www.youtube.com/watch?v=7NJRsIZ8dt4

この1つ1つが光電子増倍管で大きさはなんと直径50cmもあるのです。

びっちりとタンク内に設置されているわけなんですけど、もちろんこれには大きな意味があります。

それは後でまたご紹介することにして、今回の工事に伴って今年は一般公開も見送りとされており、来年は一般公開されて欲しいですよね。

※ただ、一般公開では報道陣が今回は入ったタンクの中は見ることができません。

工事は10月中旬には完了し、いよいよ2019年1月に観測が再開されるということです。

ということで今回はスーパーカミオカンデについてご紹介していきたいと思います。

カミオカンデ

スーパーカミオカンデを知るにはその前に存在したカミオカンデについて知る必要があります。

カミオカンデは1996年にスーパーカミオカンデが稼働するまでメインで実験されていた観測装置であり、岐阜県の神岡鉱山地下1000mに建設された3000トンの超純水を貯水できるタンクと1600本の光電子増倍管を備えた観測装置です。

名前の由来は『Kamioka Nucleon Decay Experiment』神岡核子崩壊実験からきており、頭文字をとってカミオカンデというわけですね。

そして、このカミオカンデは1987年2月23日には大マゼラン星雲で起きた超新星爆発で生じたニュートリノをを世界で初めて観測し、小柴教授がノーベル物理学賞受賞しています。

この功績があったからこそ今のニュートリノの研究が進んでいると言っても過言でもありません。

現在は跡地にカムランドと呼ばれるカミオカンデやスーパーカミオカンデとは異なる検出方法でニュートリノを検出する装置が建てられているのです。

後ほど説明しますがカミオカンデやスーパーカミオカンデはチェレンコフ光を検出します。

しかし、このカムランドは液体シンチレーターの発光を観測することで、ニュートリノを検出しているのです。

カミオカンデに代わりカムランドはスーパーカミオカンデと共にニュートリノを検出を行っているというわけですね。

ちなみにこのカムランドの名前はKamioka Liquid Scintillator Anti-Neutrino Detector(神岡液体シンチレーター反ニュートリノ検出器)の略からきています。

スーパーカミオカンデ

カミオカンデに代わり、ニュートリノを検出するスーパーカミオカンデですが、旧神岡鉱山の地下1000mにあり、直径は39m、高さ41mの円筒形、純粋を5万トンも貯めることができます。

純粋の量に関してはカミオカンデの1.6倍の量も貯めることができるというわけですね。

壁に設置されている光電子増倍管は1万1129本にもおよび、チェレンコフ光をキャッチするのです。

これまでの業績としてはニュートリノ振動実験によりニュートリノに質量があることを証明し、2015年に梶田隆章氏がノーベル物理学賞を受賞しました。

1日に1トンもの水漏れが発生していたのと、観測性能を上げるために2018年6月から改修工事を行っており、2019年1月に観測が再開される予定です。

また、スーパーカミオカンデの20倍の規模のハイパーカミオカンデの建設計画が検討されているそうです。

100万トンのタンクって想像もできないですよね、、、

さらっと流しましたが、スーパーカミオカンデの観測している『チェレンコフ光』をご存知でしょうか?

チェレンコフ光

スーパーカミオカンデはニュートリノを検出しているわけですが、ニュートリノそのものを見ることはもちろんできませんし、観測することはできません。

では一体どのようにして検出しているのか?

検出するにはまず、スーパーカミオカンデのタンクに満たされた5万とんもの超純水の水分子にニュートリノが当たるのを待たなければいけません。

そして、ニュートリノが水分子に当たると、電子が飛び出すことになります。

この電子が光の速さを超えた時、出るのが光の衝撃波『チェレンコフ光』です。

ただ、ニュートリノが水分子にあたる確率は50億分の1。

タンクの壁全面に設置された沢山の光電子増倍管が、このわずかなチェレンコフ光を見逃さずにキャッチするというわけですね。

だからスーパカミオカンデはニュートリノを検出できるのです。

いやいや、待ってくれ!

質量を持つ電子が光の速さを超えるとはどういうことだ!!??と思った方もおられると思います。

質量を持つものが光の速さは超えることができないと言われているので、矛盾していますよね。

実はある条件を満たせば、物質は光の速度を超えることができます。

その条件とは、「物質中である」ということです。

もちろん真空中では光の速度を超えることはできませんよ!

スーパカミオカンデのタンクにある水の中であれば、電子は光の速さを超えることができるのです。

光は水に入ると屈折し、およそ75%の速度になってしまうので、『チェレンコフ光』が出るわけですね!

さいごに

いよいよ観測が再開されるスーパカミオカンデ!

これからさらにニュートリノの研究が進んでいくのが楽しみですね。

近い将来、ニュートリノが実際に日常的に使われる日はくるのか?

昔は考えもしなかったようなことが今では現実になっています。

10年前こんなにもスマートフォンが普及し、生活の役に立っていると誰が予想できたか。

100年後、いや、10年後の世界ですら予測不可能です。

私も常にアンテナを張り、できるだけ時代の流れに乗り遅れないようにしたいと思います。

当ブログで紹介したスーパカミオカンデ関係の本⇩

【科学選書 Vol.3】すごい実験 感想・レビュー 多田将

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