生き物の大きさには意味がある!『ゾウの時間ネズミの時間』本川達雄著

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地球には様々な大きさの生き物たちが存在します。

細胞1つの単細胞生物からゾウのように大きな生き物まで。

それぞれ大きさが違うことで体の作りも大きく違いますし、それぞれが生きる時間も異なります。

なぜそんなことがいえるのか?

心臓を持つ生き物たちが一生に鼓動する回数はほとんど同じだからです。

つまり、ネズミとゾウも心臓が鼓動する早さに違いがあるだけで回数は同じ。

それぞれの感じている時間というのもまた、違うのでしょう。

このような話を教えてくれるのが今回ご紹介する『ゾウの時間ネズミの時間』

シンガーソングライターでもあり、東京工業大学名誉教授である本川達雄先生の著書です。

表面積と体積の関係や細胞による体の作り、またそれらを構成する物質を作るコストなど、それぞれを論理的に考えることで、生物の姿形がとても魅力的に見えてきます。

印象的だったお話を少し紹介していきたいと思います。

1.生物の法則

表面積と体積について考えた時、体積が2倍に増えても表面積は2倍とはなりません。

大きくなるほど表面積/体積は減っていくのです。

恒温動物は体温を保つために食べたものを燃やし、熱を生み出します。

ベルクマンの法則で知られる大型の種類ほど寒冷地に住む傾向がありますが、表面積/体積の値をを減らすように体積が大きくなるのも納得できます。

ただ、このベルクマンの法則には例外も多く、一般的な法則とは言えないのですが、、、

しかし、驚くべきことに小さな単細胞生物~大きな多細胞生物に至るまで、恒温動物、変温動物関係なく成り立つことがあります。

それはエネルギー消費が体重の3/4乗に比例するということ。

恒温動物は何もしてなくても変温動物の30倍ものエネルギーを消費するとしても、その傾きは変わらないのです。

もし、体重当たりの代謝率が小さくならなければ大変なことになっています。

ネズミがウシの代謝率と同じならば、20センチの厚さの毛皮をかぶらなければいけないし、ウシがネズミの代謝率と同じならば、熱がたまって体温が100℃を超してしまうことに。

なぜ3/4乗に比例するのかは定かではないのですが、これは生物を形作る原理の一つであることは間違いなさそうです。

2.車輪動物がいないのはなぜか?

私たち人間が移動する時に欠かせないのは車や自転車です。

特に自転車は陸上の移動道具の中でも最もエネルギー効率の良い物であり、車輪を持つ生物もいてもいいのではないでしょうか?

しかし、辺りを見回してもそんな生き物は存在しません。

このことは車いすに乗ればすぐにわかることです。

車輪を持つ乗り物は平坦な道ではすいすい進むことができますが、段差などがあれば進むことが困難になります。

車輪の直径1/4程度の段差であれば、何とか上ることはできますが、直径の1/2の大きさにもなってしまうと、原理的に上ることはできません。

また、車輪は地面との摩擦を保ちながら進むため、柔らかい場合や地面がぬかるんでる場合には前に進むことが困難になります。

さらに言えば、すれ違う時にも一苦労です。

私たち人間は森を切り開き、地面を平らにしたから、車輪が使いやすいのであって、凸凹した自然には車輪は適していないようです。

生物を作る物質の簡単から見ても、車輪の軸となる硬い物質を作り出すのは非常にコストがかかります。

なので、例え足を上げて重力に逆らったとしても、車輪を持つ意味はないのでしょう。

3.大きいものの代償

私たち人間はある一定の高さから落ちると、その衝撃に耐えることはできません。

しかし、100 gまでの動物であれば、どんなに高い所から飛び降りても何の問題もないのです。

これは大きいほど骨格系の強度に余裕がないからであり、約30 gくらいのハツカネズミは、人間が飛び降りたらひとたまりもない高さの屋上から飛び降りても平気なのです。

これはなかなか驚きです。

また、ゾウなんかはとても大きく、体重が重いですよね。

彼らは体重のせいで慎重に一歩一歩足を動かさなければ、骨折の危険性がもの凄く高いのです。

そのため、ゾウを解剖し、足の骨を見ると、過去に骨折した後がかなりの頻度で見られるそうです。

4.さいごに

生物はもの凄く魅力的です。

それぞれがとても効率よく作られているからです。

私たちはまだまだ生物のことを知りません。

その起源だって、DNAについてだって。

我々人類はどこまで生物のことを理解することができるのでしょうか?

皆様も生物の本を読んで様々なことを知り、考えてみてはいかがでしょうか。

5.本の詳細

『ゾウの時間ネズミの時間』

本川達雄 著
嶋中行雄 発行者
中央公論社 発行所

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【科学選書Vol. 5】生き物は円柱形 感想・レビュー 本川達雄

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