子供のころ不思議に思った方も多いのではないでしょうか?
どうして自分で膨らました風船はお店で売っている風船みたいにぷかぷかと浮かばないのだろうか?
私は子供のころはずっと疑問に思っていました。
何度も風船を自分で膨らますけれど全く浮かばないのです!なぜなんだ!
そんな時代もありました。
その当時は全く理由はわかりませんでしたが、今となっては良い思い出です。
みなさんもご存知の通り、なぜ自分で膨らました風船が飛ばないのか?の答えは、売られている浮かぶ風船には『ヘリウムガス』が入っているためですよね。
ヘリウムガスは風船以外にも吸うことで声が変わったりする不思議な気体で、パーティーグッズなどでもよく親しまれていると思います。
そんな身近に使われているヘリウムですが、今回は何故、ヘリウムガスで膨らませた風船が飛んでいくのか?
また、どうしてヘリウムガスを吸うと声が変わるのか?そして、そもそも吸っても安全なのか?
というようなことを解説していきたいと思います。
1.ヘリウム その1
まずヘリウムとは元素記号はHe、宇宙では水素に次いで二番目に多い元素で、大気中には0.005%含まれています。
大気中の割合としてはとても少なく、もちろん目には見えませんが、実はそこら中にヘリウムは存在しているのです。
そして、このヘリウムは無色無臭無毒であり、反応性が低く、安定な『希ガス』として知られています。
では、反応性が低く安定であるとはどういうことなのでしょう?また、希ガスとは何なのでしょうか?
2.希ガス
貴ガスとは周期表の18族、『ヘリウム』『ネオン』『アルゴン』『クリプトン』『キセノン』『ラドン』の総称です。
これらの貴ガスは、全て反応性が低くなっています。
いったいなぜ反応性が低いのでしょうか?
その理由は、貴ガスの外側の電子殻が電子で埋ることで閉殻となり、非常に安定しています。
つまり、外側が埋まってしまっているので、他の原子と電子を渡し合うことができないということ。
原子同士は電子を受け渡すことで共有結合しています。
そのため、受け取って渡すことができる電子の余裕が無ければ、結合しにくくなってしまうのです。
結合することが難しいということは、反応性が低いことになりますよね。それ自体がエネルギー的にとても安定しています。
また、同じ者同士の結合力も非常に小さいため、個体や液体になりにくいのです。
そのようなこともあり、貴ガスは単利が難しく、希ガスと言われていました。
また、毒性についてですが、他の物と結合しにくいということは、体に入っても体の原子と結合しにくいということですよね。
このように、結合しにくいのでその影響はほとんどないと考えられます。
つまり、反応性の観点からするとヘリウムは無毒なのです。
無毒と言えど吸い過ぎると危険なのでここではあくまで反応性の観点から言っています。
最後まで読んでくださいね!
では、次にもっと詳しくヘリウムについて説明したいと思います。
3.ヘリウム その2
ヘリウムは、先ほども言った通り無色無臭の気体です。
そして、空気よりも密度が小さく、とても軽い気体なのです。
ここに風船が浮く鍵があります!!
風船にヘリウムガスが満たされているとしましょう。
すると、空気を押しのけ、その分が浮く力となって風船を押し上げます。
この説明ではいまいち分からないかもしれませんので、もっとわかりやすい例えがあります。
空気の入ったペットボトルのふたを閉め、水の中に無理やり沈めようとしてみてください。
するとどうなりますか?
水面に向かって押し上げられていきますよね。これと同じことなのです。
この場合、水は空気よりも密度が大きいので、水が空気を押し上げていくのです。
浮かんでいくとは、水がどんどん下に入り込んでいきペットボトルを押し上げているということになります。
空気とヘリウムの場合も同じことが起きます。
つまり、空気の方が密度が大きいのでヘリウムの入った風船の下にどんどん入り込んでいき風船を押し上げることになるのです。
このようにヘリウム入りの風船は、空気に押し上げられることで、ぷかぷかと空中に浮くことができるというわけですね!
ここである疑問を持つ方がおられるかもしれません。
風船に利用されているんだし、ヘリウムが一番軽い元素なのかな!?そう思うのが普通ではないでしょうか?
しかし、そうではありません。実は水素が最も軽い元素なのです。
では何故、風船には水素が使われず、ヘリウムが使われているのでしょうか?
4.水素が風船に使われないのはなぜ?
ヘリウムが風船を浮かす理由はお分かりいただけたと思います。
しかし、一番軽い水素が何故使われないのか?
そこにもちゃんと理由があるので説明していきたいと思います。
その答えを先に簡単に言ってしまうと、水素はとても燃えやすく、火を近づけると音を立てて燃えてしまうからです。
水素を使えば、確かにヘリウムよりも浮くことはできます。
ヘリウムよりも軽い元素なのだから当然ですよね。
しかし、大変危険なのです!
もし、水素で満たされた状態のところに火花が散れば、爆発を起こしてしまいます。
当時水素が気球に使われていましたが、1973年アメリカのヒンデンブルク号が爆発し、37名の死者をだしました。
そのような事故もあり、現代では気球や風船にはヘリウムが使われているのです。
ん?ちょっと待てよ!と思った方がおられるかもしれません。
水素が燃えやすくて、なんでヘリウムは燃えにくいのでしょうか?
5.燃えるということ
皆さん燃えるとはどういうことなのでしょうか?
燃えるということは、光や熱を出しながら、酸素と激しく反応しているということです。
つまり、酸化反応です。
もうわかった方もおられるのではないでしょうか。
反応性が低いということは、燃えにくいのです。
酸素と反応しにくいのです。
つまり、水素は酸素と反応しやすいため燃えやすい。
しかし、ヘリウムは酸素とも反応しにくいので、燃えにくいのです。
ヘリウムがなぜ一般的に使われているのかが、分かってきたのではないでしょうか。
次は、パーティでもお馴染み、ヘリウムを使うとなぜ声が変わるのかを説明していこうと思います。
6.なんでヘリウムで声が変わるの?
音は波であり、振動です。
耳がその振動を鼓膜でキャッチし、骨を震わせ、電気信号に変換されたあと脳が解析し音として認識されます。
長々と説明しましたが、言いたいことは音は振動ってことです。
振動の波と波の間は波長と呼ばれ、1秒間に何回波がきたか、振動したかは周波数で表されます。
また、波長が短いほど1秒間の振動数は増え、周波数は高くなり、周波数が高ければ高いほど高い音に聞こえます。
逆に周波数が低いと波長は長くなり、1秒間の振動数は少なくなります。
その結果、音は低く聞こえるのです。
もし、ヘリウムガスを吸い込んだならば、体の中のヘリウム濃度が高まります。
ヘリウムは密度が小さいため、振動、つまり音は空気よりも早く伝わることになるのです。
簡単にいうと、密度が大きくごちゃごちゃしてるよりも、密度が小さくスカスカな方が伝わりやすいですよね。
その結果、普通の声よりも振動が伝わりやすくなるので、1秒間にくる振動も増えることになります。
1秒間にくる振動も増えるということは、周波数が高くなるということですよね。
周波数が高くなるともちろん声も高く聞こえるというわけです!
つまり、ヘリウムを吸うと器官内で周波数が高くなるので出てきた声が高く聞こえるというわけです。
7.さいごに
パーティーグッズでよく売られているヘリウムガスは先ほど、反応性の観点からは無毒と言いましたが、無毒といっても吸いすぎると大変危険です。
死亡例もあるのです。
なぜ、安全で無毒なのに死んでしまうのでしょうか?
実は、ヘリウムを吸いすぎて酸素が足りなくなってしまうからなのです。
肺がヘリウムで満たされて酸素濃度が低下した結果、酸欠状態になってしまうわけですね。
当たり前のことですが、酸素が無ければ人は生きていくことができません。
せっかくみんなで楽しむパーティーなのに、ヘリウムを吸い過ぎて気分が悪くなったり、ましてや死んでしまっては意味がないですよね。
なので、ヘリウムガスは用法容量、方法をしっかりと守って楽しむのが一番です!!
気をつけましょう!!
酸素が生きるために必要な理由は⇩
密度の違いを利用した温度計!!