今回ご紹介するのは『進化のからくり 現代のダーウィンたちの物語』です。
ダーウィンの時代には生物の種は紙が創造した不変の存在であると信じられており、DNAや遺伝子など遺伝を担う正体は分かっていませんでした。
そんな中で様々な進化の仕組みを考え進化論を提唱したダーウィン。
彼がその着想を得たと言われているのが英軍艦ビーグル号での5年もの航海(1831年12月~1836年10月ごろ)です。
そしてその旅の中でも最も有名な場所が皆様もきっとご存知である『ガラパゴス諸島』。そこは現代では進化学者と進化学ファンの聖地となっています。
ダーウィンはそこに生息しているガラパゴスマネシツグミやゾウガメは島ごとに特徴の違いがあることに気づきました。
そして「種の不変は崩れるかもしれない」とノートに記したのです。
その航海の後20年の年月をかけ、1859年『種の起源』を発表しました。ダーウィンは異なる種は独立に創造されたものではなく、共通した祖先から徐々に分化したものであるという考えに至ったのです。
ただ、このお話のようにダーウィンがガラパゴス諸島で進化の着想を得たという本人の記録は実は残っていないのが事実。
1935年のダーウィンのガラパゴス訪問100周年を記念するイベントが開かれた時にダーウィンが進化を着想した島という解説がなされ、今のように有名なお話となったと言われています。
また、有名なダーウィンフィンチに関してもフィンチからも着想を得たと信じた鳥類学者のパーシィー・ロウが名付けたのです。
ダーウィンフィンチはその後様々な研究と新発見によって伝説となっており、教科書などでも必ずセットで登場していますね。
そんなダーウィンの思いを受けつぎ、現代の進化学者はみなダーウィンであり、この本は現代のダーウィンたちのお話です。
小説を読んでいるかと思うくらいドキドキとわくわくに溢れ、すっと全部読んでしまうはずです。
ぜひ、皆様もお手に取って読んでみて下さい。
本を読んでみて・・・・
著者の千葉聡先生が追い求めるのはカタツムリであり、カタツムリを求め様々な苦難を乗り越える先生のフィールドワークのお話は本当にわくわくする物語でした。
当時の研究室に所属されていたスコットランド出身のアンガス・デビソン博士、そしてミウラ君と個性的なメンバーが繰り広げる研究の物語。
私もこの夏はフィールドワークに行って色んな生き物の観察をしてみたいと思いました。
また、カタツムリのジェレミーのお話をご存知でしょうか?
食用になるカタツムリであるヒメリンゴマイマイは普通右巻きなのですが、ジェレミーは左巻きでした。
実はジェレミーは100万匹に1匹という確率のレアなカタツムリで、左巻き同士でなければ交尾ができないのです。
そこで左巻きの遺伝的な研究をするためノッティンガム大学広報室がジェレミーの恋人を募集し、市民と研究者が一丸となって協力したお話です。
さぁ、ジェレミーの恋人は見つかったのでしょうか?
地球が約46億年前に誕生し、海が生まれそこから生物が誕生し、現在に至ります。
その中で我々人類はおよそ600万年の歴史しかなく、さらには人1人の人生は長くても100年。
生物の進化というのは我々が感覚的につかむのはなかなか難しいのかもしれません。
しかし、我々の生きる時間の中でも確実に進化は起こっており、目に見えるものもあれば、積み重ねがまだまだ先にならないとわからないものもあります。
生物の進化を知り、考えてみても面白いと思います。
また、皆様もこの本を読んでいろんなところに赴き、様々な生き物たちを観察してみてはいかがでしょうか?
何か面白い発見があるかもしれませんよ。
レッツフィールドワーク!
本の詳細
『進化のからくり 現代のダーウィンたちの物語』
著者 千葉聡
発行者 渡瀬昌彦
発行所 株式会社講談社