このブログを読んで下さっている方、そしてこのブログにたどり着いたかたのほとんどが化学は好き、もしくは興味があると思いますが、そんな方にこそおすすめの一冊を本日は紹介いたします。
『世界史は化学でできている』
私は学生時代大の歴史嫌いだったわけですが、最近、そうでもありません。むしろ歴史って面白いなって思いますし、お寺などに行くと資料をじっくりと読んで学ぼうと思うくらいにはなりました。まだまだ本を買って歴史を学ぼうとまではいきませんが、、、
自然と大人になるにつれて歴史の大切さに気付くということもあるんですが、私が歴史に興味を持ちだしたのは科学史の本を何冊か読んだことが一つの大きな理由となっています。そして、そんな科学史を紹介している本はこれまでにも当ブログで何冊か紹介しておりますが、今回もまさにそのうちの1つです。
そもそも歴史を学ぶことが何に繋がるのか?
それは、これからの未来を作る私たちが過去に起きた様々な悲劇を繰り返さないようにすることができるということです。さらには過去の発見を参考にすれば新しい発見につながることもあります。もちろん時代背景も違えば、技術力も大きく違いますので、参考になる場合と参考にならない場合もあるかもしれませんが、しかし、歴史背景を知ることで何かをつかめる可能性は必ず上がるはずです。
また、私たちが今、便利な生活ができているということ、そして、ほとんどの病気が治療できるということなどなどは、これまでにたくさんの失敗があったからこそできているのです。もし、それを知らずにさらに便利な世の中にという気持ちだけで技術を発達させてしまえば、取り返しのつかないことになり、人類に先は無いでしょう。
現在はまさに地球環境が取り返しのつかない状態になる寸前のところであることに疑いの余地はありません。今を生きる我々が過去の失敗から学ぶことは必須なのでは無いでしょうか。失敗は財産であり、これまでに生きた人たちが残したものをしっかりと受け取り、これからに活かしていく必要があります。
と、お固いことをつらつらと書きましたが、純粋に科学に関する歴史的な背景を知るとすごく面白いです。この時代には他にどんなことがあったんだろうとか、この時、日本ではどんな出来事が起きていたのだろうと、高校生の時には見向きもしなかった歴史にもとても興味がわいてきます。
人類が誕生してから数十万年が経ちますが、文明が発達し、さらには科学が発達しだしてからたった数百年しかたっておらず、今まさに劇的な変化が訪れています。この本を手に取り、化学の歴史を学ぶことで、より良い明日を目指すのも良いのではないでしょうか。
表紙にも書いてあるようにこの本はあくまで化学入門です。科学好きの方であれば、もう知っている内容が多いとは思いますが、今一度化学と歴史を考えるきっかけとしてみても良いと思います。また、歴史が好きだけど、化学は苦手だなという方には化学に興味を持つきっかけになるだろうと思います。
本を読んでみて
基本的には科学が好きな人にとっては知っている内容が多いですが、改めて歴史と化学は密接に関係していると考えさせられる本でした。
特に戦争は多くの人を苦しめる兵器を作るために科学が大きく発展します。抗生物質が大きく広がったのも戦争で傷を負った兵士たちが感染症で亡くなってしまうのを抑えるためであるし、原子力発電、電子レンジ、ハーバー・ボッシュ法なども戦争と大きく関連しています。だからといって戦争は決して起こしてはいけないし、科学が人を殺す道具になってはいけません。
このような人類が犯した罪をしっかりと学ばなければ、同じ罪を繰り返してしまう可能性が高くなってしまうでしょう。
また、麻薬の歴史も面白いです。かつてや薬や麻酔として使われていたものもありますし、戦争との関わり合いはとても考えさせられます。そしてさらに自然には存在しない化学合成された覚せい剤が出現し、かつては売り出されていました。もちろん現在ではその危険性から取引することも所持することも禁止されています。
最近では大麻が合法となる国が出てきておりますが、その歴史などを考えると私はわざわざ大麻を合法にする必要はないんじゃないかなと思います。
環境問題ではフロンガス、DDTについては知っておく方がよいと感じます。便利さを求め人間は様々なものを生み出してきました。その影響が自然に出ないわけがありません。今一度その歴史を見直し、今私たちが何をすべきなのか、何ができるのかを考える必要があります。
ぜひ、皆様もこの本を読んで一緒に考えていきましょう。
本の詳細
『世界史は化学でできている』
著者:佐巻健男
発行所:ダイヤモンド社