もし、生物を学校で教えている方がいるならば、絶対に読んだ方が良い一冊。
生き物がどんなどんな形をしているのか考えたことがありますか?
ほとんど全ての生き物たちは、円柱形をしています。
人間だって、犬だって、ミミズだって、ほとんどすべての生き物たちが円柱形です。
一方で、人が産み出した人工物はどうでしょうか?
今いる部屋を見渡してみて下さい。
また、自分の家やビルはどうでしょうか。
人が産み出した人工物のほとんどが四角で、尖っています。
では、なぜそうなるのでしょうか?
生き物たちは生き物たちなりに1つの細胞から大きな体になるために、それぞれの生物がきちんと考えられた形をしています。
人工物はというと、長く壊れにくいものが良いものとされ、生物とはまた違った形をしているのです。
鋭くとがった物は自然を破壊し、長く壊れないものは、自然には還りません。
この本では、このように生物と人工物の違いから始まり。
なまこやクモ、貝のような身近な生物たちがいかに優れた能力を持っているということ。
また、環境にやさしい技術とはなんなのか?
最後には私たち人間と、ゾウやネズミ、もっとちいさな生き物たちが感じている時間は全く異なる可能性があることを教えてくれています。
生き物とはなんなのか?
生きるとはなんなのか?
それを考えるヒントをくれる一冊です。
1.本を読んでみて。。。。。。。
生物学とは体の部位を覚え、その中で起こっている化学反応を知ったり、生態を調査することであるのは間違いありません。
しかし、そこにたどり着く前に、生物のことをもっとよく知れば見えてくるものがあるはずです。
私たち人間は技術を発展させてきましたが、生物たちは、はるか昔から生き残るためにそれぞれが体を変えてきました。
それは人間だって犬だって、猫だって虫であろうが、どんな生き物も同じです。
新しく生み出すよりもまずは、今いる生き物たちから学ぶことも、凄く大きなことなのではないでしょうか。
科学はいくつか分野に分かれますが、その全ての本質は同じです。
物理屋だから生物はしらない、またその逆も然り、そういう風にはなって欲しくないですね。
今の教育方法では、そのような考え方をするようになるかもしれません。
生物を教える人ならなおさら、この本を読み、まずは生物とは何か?を考え、自分なりにその答えを見つけ出すほうが良いと思います。
これからの技術の発展を考えるならば、子供たちにどう教えるのが正しいのか。
それをしっかりと考えなければならないのだと思うはずです。
また、最後の生き物たちの時間を考えるところでも、色々と考えさせられます。
私たちは急ぎ過ぎているのかもしれません。
生き物側の時間を考えれば、なんとなく、若者たちが会議を嫌い、上の人たちが会議に時間をかける理由までも見えてくる気がするのです。
現代社会に生きる私たちは、絶対的な時間に縛られすぎているのかもしれません。
生き物にはそれぞれの時間があって、私たち一人一人の感じている時間も違うのでしょう。
もし、あなたが生物を教えるならば、間違いなく、絶対に読んだ方が良い一冊であると思います。
生物を教えるわけじゃなくても、読んで損はない一冊です。
2.本の詳細
『生き物は円柱形』
本川達雄著
森永公紀発行者
NHK出版
2018年1月10日初版