私たちが暮らす地球はとても温かいですよね。なぜなら、太陽が地球を照らしてくれているからです。この太陽があるおかげで温度が保たれ、私たちは地球で暮らすことができています。太陽が無ければ地球は極寒の地と化し、暮らすことはできません。
では、地上と山の上では、どっちの方が太陽に近いでしょうか?それは、間違いなく山の上ですよね。山の方が高度が高いので、近いに決まっています。
しかし、よく考えてみて下さい。
普通、熱を放出している物に近づくとどうなりますか?温かくなりませんか?それを考えると、なんだか山の上は矛盾していますね。
地上よりも太陽に近い山の上の方が、熱くなくて寒いんのです。地表では雪が降っていなくても高い山の上では雪が積もっていたりします。
いったいなぜなんでしょうか?なぜ、山の上は気温が低くなるのでしょうか?
焚火をすれば、近づいた方があったかい。ストーブも近い方があったかい。
不思議に感じませんか?
太陽は近いと実は寒くなる??本当に?
いえいえ、そうではありません。実は、太陽からの熱は地球の大気ではなく、地表を温めているからなんです。
また、上空は大気圧が低く空気が薄いですよね。大気圧が低いと、気温も下がってしまうのです。
この2つの理由から、山の上は地上よりも寒くなっているというわけなのですが、もうすこしわかりやすく、順番に説明していくことにしましょう。
まずは、太陽からの熱がどのように地球に届いているかを突き止めるため、熱の伝わり方からお話したいと思います。
1.熱の伝わり方
熱は3つの方法『伝導』『対流』『放射』で伝わります。
『伝導』は金属なんかを想像していただければ分かりやすいかと。金属を温めれば、全体があったまりますよね。これは分子同士がまとまった状態でいるため、熱が伝わりやすいのです。
もちろん熱の伝わりやすさは、物質によって異なります。
最近では、熱伝導を利用したアイスクリームのスプーンが販売されていますね。
スプーンが手の熱を伝えやすい素材でできているので、アイスクリームは溶けて簡単にすくえるわけです。この熱伝導スプーンは、富山のデザインメーカーが生み出しました。アイスクリームは硬いと食べにくいので画期的なスプーンですよね。
熱の伝導は、分子がまとまっている個体が一番大きく、液体、気体の順に小さくなります。気体は分子がばらばらになっているので、熱が伝わりにくいんですね。
次に『対流』です。
対流は水や気体などの流体で熱が伝わる現象です。お風呂を沸かす時、温かいお湯は上へと上がっていきますよね。そして今度は冷やされて、下へ戻ります。
このように対流とは温度によって流れができることです。お味噌汁をのぞき込むと動いているのはまさにこれ。
このように、熱は対流によって温かいほうから、冷たい方へと伝わっていくわけです。
最後に『放射』です。
放射とは、熱が『電磁波』として伝えられることを言います。電磁波とは目に見えない光のこと。つまり、光が熱を伝えるというわけです。
この電磁波が物体に当たると、分子を揺らします。そして、揺れた分子同士がぶつかったり、こすれたりすることで熱が出るわけです。
例えば、電子レンジは電磁波によって水を揺らし、分子同士がこすれあうことで、温まっていますよね。
電子レンジについて詳しくは⇩をご覧ください。
簡単に言えば、電子レンジと同じことです。もちろん光の波長によって温まるものは変わってきますが。炭やストーブも電磁波による放射で物を温めています。
このように『伝導』『対流』『放射』、熱には3つの伝わり方があるのです。
2.山の上が寒いのはなぜ?
太陽に近いということは、ストーブに近いということですよね。それなのに一体どうして、太陽に近い山の方が気温が低いのでしょうか?
その答えは、太陽と地球の間に何があるかを考えればわかります。太陽と地球の間には何があるでしょうか?そうです!宇宙空間ですよね。
宇宙空間は水素やヘリウム以外に現代の科学では全く分からない物質できています。この物質はダークマターといって、もはや何でできているかわっていません。
とにかく、謎が多い宇宙空間には気体分子がほとんどないのです。つまり、太陽がどんなに高い温度で燃えていたとしても、宇宙空間では熱は伝導や対流では熱が伝わりません。
熱は宇宙空間よりは密度が大きい大気でさえ、伝導で伝わりにくいのに、気体分子がほとんど無い宇宙ではなおさら伝わらないというわけですね。このことからも太陽からの熱の伝わりは、電磁波による放射のみと言えるのです。
ストーブは太陽と違って対流と伝導でも熱がつたわるので、近づくと温かいですが、太陽はそうではありません。
では、どのように太陽は電磁波で地球を温めているのでしょうか?
太陽から来た電磁波は空気にはほとんど熱を伝えず地表を温めます。空気は分子が散らばっているので、電磁波が来てもほとんどぶつかったり、こすれ合えないので、温まれないわけです。
一方、地表は個体なので、分子同士が近くにいます。この地表に電磁波が来ると、分子同士がぶつかったり、こすれあえますよね。こうして太陽からの電磁波は地表を温めているというわけです。
そして、このようにして温まった地表からの熱は大気へと伝わります。つまり、地表が大気を温めるのです。地表によって温められた空気は、密度が低くなるため、軽くなります。
軽くなるともちろん上へと上がっていくので、上昇気流を引き起こすというわけです。じゃあ何で山の上は寒いんだよ!温かい空気は上へと上がるんでしょ!
ここで2つめの要素である、『大気圧』が登場します。
上空へ行くということは、地球から離れるということですよね。地球に近いほど重力はかかりますが、離れるとその力は弱くなります。つまり、大気への力も弱くなるわけです。
おかげで大気圧は下がり、分子が離れ離れになり、膨らんだ状態へとなってしまうのです。そして、膨らむ時の仕事エネルギーが、内部の熱エネルギーとして消費されるため、温度はさがってしまいます。
なんと、100 m上がるごとに気温は0.6℃下がるのです。山の上は大気圧が低くなり、膨らむためにエネルギーが消費され、気温が低くなってしまっているわけですね。
このように太陽が地球を温めている方法と大気圧のせいで、山の上は寒くなっていたわけです。単純そうに思えて、結構複雑ですよね!
※追記(2018/05/26)
質問を頂いたので、追記させていただきます。
山の上も0地点も同様に地表があり、同じように太陽からの熱を空気中に伝えているわけですが、山の上と0地点では空気の密度が異なります。
高度が高くなるにつれ大気圧は低くなり、空気の密度は低くなる。つまり、同じように地表から温められるとしても、空気の密度が低い山の上は熱が伝わりにくくなるのです。
よって山の上は温度が低くなるということになります。
3.さいごに
単純に見えても、よくよく考えれば不思議なこと。そういうことは世の中にたくさん溢れています。
少し視点を変えてみれば、色んなことに気付けるようになると思います。そうすればもっと人生は豊かになくはずです。
色んなところに目を付け、楽しみながら学んでいきましょう。