【科学選書Vol.13】お皿の上の生物学 小倉明彦 感想・レビュー

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科学は身近なものの中にたくさん含まれています。

その代表こそが料理であり、視点を変えてみれば、料理は科学の宝庫です。

この本はそんな料理を中心とし、味覚とはどういうものなのか?嗅覚とはどういうものなのか?のような体の部分から食べ物の変化から生き物の進化に当てはめてみたり、最終的には論文の書き方、読み方まで様々なことを教えてくれます。

理学系の生物学専攻の方や、生物好きの高校生は是非とも読んだ方が良い一冊だと思います。

登場するほとんどすべての題材が、日常に溢れている物ばかりで、すぐにでも誰かに豆知識として教えたくなるものばかりだと思います。

また、この本は実際の阪大での講義の内容を本にまとめたものであり、前回紹介した『実況・料理生物学』の続編でもあります。

『実況・料理生物学』の記事⇩

この『実況・料理生物学』が面白かったので今回の『お皿の上の生物学』をすぐに購入したというわけです。

生物学をかじっていなければ、内容的に少し難しい部分もありますが、わかりやすい解説と小倉先生のユーモアあふれるジョークのおかげで内容がすんなり入っていくはずです。

普段の大学の授業や高校の授業とは異なる生物の授業を皆様も体感してみてはいかがでしょうか?

本を読んでみて

もっとも印象的だったお話は「エビはなぜ赤いのか?」というお話です。

エビは海の中で生活している時、赤くはありません。

しかし、料理として出てくるときはどうでしょう?

真っ赤に染まっていますよね!

これはエビが持つ色素(カロテノイド)が生きている時にタンパク質と結びついた状態では青灰色に見えますが、茹でたりなど熱することで色素に結びついたタンパク質が変性し、カロテノイドが遊離することで赤く見えるわけです。

ではなぜエビは赤の色素を隠し持っているのか?

ということを課題とし、生徒に考えさせた小倉教授。

生徒2人のレポートが紹介されており、1人は医学部のがちがちの理系の生徒、そしてもう1人が文学部の生徒何ですが、文学部の生徒のレポートが面白すぎる!

医学部の生徒はなるほどど!と思わされるようなしっかりしたレポートだったんですが、文学部の生徒のレポートはふわふわしており、ファンタジーでした。

クリスマスのサンタさんに関連した内容なんですが、ぜひこの本を実際に手に取ってユニークなレポートを読んで頂きたいと思います。

やっぱり、文系、理系では発想が異なってくるのか、、、、それともこの文学部の生徒が特別なんですかね。

とにかくこういうのを載せちゃうというあたりが小倉教授のユニークさが伝わってくる部分でもありました。

あとは生態学と食べ物を掛け合わせているところも本当に面白かったですね。

「進化の圧力は、空白を空白のまま放っておくはずがない」

独立した大陸では必ず似たような種が存在しています。

例えばオーストラリアとアフリカ大陸を比較した時、アフリカ大陸にはライオンという大型の肉食動物がいれば、オーストラリアにはフクロヤマネコという大型の肉食動物がいます。

また、シマウマという草食動物がアフリカ大陸にいれば、カンガルーという草食動物がオーストラリアには存在している。

このように大陸が違えど、環境に適応した同等の役割を果たす生物種が存在することが多いのです。

そこで小倉教授はこれを食べ物にも当てはめ考えていきます。

もし、ハンバーガーが日本に入ってきていなかったら、それに代わる食べ物は何なのか?

このように生物学は身近な物に対応させることだってできるし、こういう風に考えれば楽しいですよね。

さいごに

『お皿の上の生物学』

小倉明彦 著
土井二郎 発行者
築地書館株式会社 発行所

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『料理生物学』

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