一度は皆様もこのおしゃれな温度計を見たことがあるのではないでしょうか?
東急ハンズなどの科学コーナーに行くと恐らく売られているはずです。
この温度計は『ガリレオ温度計』と呼ばれており、デジタルの温度計同様に見れば温度が分かるというものです。
ガリレオ温度計の中には液体が入っており、さらにその中に24℃などの金属の文字盤がそれぞれに付き、様々な色のついた液体が入っている球体のガラスが浮かんでいます。
では、この温度計はどうやって見るのか?
デジタルだとすぐわかるのに!と思われるかもしれませんが、この温度計でもすぐにわかります。
写真では紫、黄色、緑色の液体が入ったガラスの球体が上に浮かんでおり、その下には少し間隔があいて、そこには赤色の液体が入ったガラスの球体がありますよね。
さらにその下には青色の液体が入った球体があることが確認できるはずです。
ちなみに、紫26℃、黄24℃、緑22℃、赤20℃、青18℃がそれぞれ刻まれた金属板が付けられています。
それでは、以上のことを踏まえ、写真の場所の気温は何度でしょうか?
正解は20℃です!!
ガリレオ温度計の読み方として、間にあるガラスの球体に記された温度がその時の気温になります。
上の写真では、赤色の液体が入った球体が真ん中にきていますよね。
しかし、上の方と下の方に固まってしまい、真ん中にガラスの球体が無い場合があります。
下の写真のような場合です。
これでは間にガラスの球体が無いので温度が分からない!ではないんです。
黄色は24℃で緑色は22℃でしたよね。
実は間にガラスの球体が無い時の気温の求め方は、それぞれの間の温度となるのです。
つまり、2枚目の写真の気温は24℃と22℃の間の23℃ということになります。
このようにデジタル同様、簡単に部屋の気温が分かりますよね!
しかも!なによりもおしゃれだし!
ただ、金属板に示された目盛り以上、以下の温度、また、小数点までの気温を正確には測れないのでデジタルの方が性能的には優秀と言えます。
そんなガリレオ温度計ですが、一体なぜ気温の違いによって球体が浮き沈みするのでしょうか?
答えは、ガリレオ温度計に満たされた液体の密度が温度によって変化するからなんです。
いまいちピンとこなくても大丈夫です!
今回も、順番に詳しく解説していきます!
せっかくなので今回はガリレオのお話からしましょう。
1.ガリレオ・ガリレイ
「それでも地球は回っている」
誰でも知っているようなとても有名な言葉ですよね。
当時、地球を中心に天体が回っているという天動説が信じられていました。
しかし、ガリレオはニコラウス・コペルニクスが唱えた地動説が正しいということを証明しようとし、宗教裁判では有罪判決が下されました。
そんな中、2回目の宗教裁判でガリレオがつぶやいたとされているのがこの言葉だと言われています。
イタリア語では「E pur si muove」
日本語ではそれでも地球は動く、それでも地球は回るなどと訳されます。
ただ、この有名な言葉は弟子たちが地動説の宣伝のために広めた嘘だともいわれており、その真偽はわかりません。
もし、つぶやいていなくてもガリレオは偉大な科学者であることに間違いはありませんよね。
そんなガリレオ・ガリレイはイタリアの物理学者であり、天文学の父と言われています。
望遠鏡が開発された当初から、いち早く導入し、金星の満ち欠けを観察、地動説が正しいということを唱えました。
さらに、その他にも、今回紹介した温度に比例し、液体の密度が変化するということも発見しています。
しかし、望遠鏡を見過ぎた結果、両目を失明し、宗教裁判では有罪判決が下されるなど、明るい人生ではなかったのかもしれません。
温度計を見て、彼の凄さを感じるのも良いですね!
では、本題に入っていきましょう。
なぜ、ガリレオ温度計は温度を測ることができるのでしょうか?
2.浮くということ
水に物体を浮かべるとします。
例えば、空のペットボトルだと簡単に浮きますよね。
では、そのペットボトルに水を満タンに入れるとどうでしょうか。
すぐに沈んでいくはずです。
これは、空のペットボトルでは、水よりも密度が低く、軽いから浮いていましたが、水で中が満たされると密度が高くなり、重くなったから沈んだわけですよね。
満タンのペットボトルが沈んだ時、水は押しのけられていくわけです。
そして、押しのけられた水の重さと満タンのペットボトルの重さは、同じになるのです。
もっと簡単な例を挙げましょう。
満タンに水を入れた、でっかい水槽を用意します。
人が入っても足がつかないくらい大きな水槽です。
ここに人が完全に水中に入って浮けば、その人の重さ分の水が押しのけられて、水槽から水が出ていくわけです。
ただ、体が底についてしまうと、支えられるので、お風呂で同じ事はできませんよ。
もちろん、風呂でも人が入れば、水が押しのけられて行きますよね。
水が押しのけられていくことは確認できるはずです。
ここまでをまとめると、物体が浮くということは液体よりも密度が低く、軽いということ。
また、液体よりも密度が高く重い物体は沈み、その分、物体と同じ重さの液体が押しのけられるということです。
以上を踏まえ、次のSTEPに行きましょう。
3.液体の密度は温度に比例する
ガリレオ温度計を理解するには液体の密度が、温度に比例するということを理解しなければいけません。
液体の温度が高くなればその分、液体の分子はエネルギーが大きくなるということになります。
するとどうでしょう。
エネルギーが大きくなるということは、動きが大きくなりますよね。
つまり、密度が下がってしまうのです。
液体の密度が下がるということは、液体は軽くなるということです。
このように温度が上がれば、液体は軽くなるということなんですね。
もし、物質が液体の中に浮いていたとしましょう。
温度が上がればその物質はどうなりますか?
※物体は温度の影響を受けないものとします。
元にあった位置よりも下がっていくはずです。
なぜなら液体の密度が低くなり、軽くなるので、物体が押しのける液体の量が増えるからです。
では、逆に冷やすとどうなるでしょうか?
液体は密度が高くなり、浮いていた物体は上昇するはずです。
ここまで理解できれば、ガリレオ温度計は理解できたも同然です!
4.ガリレオ温度計はどうやって温度を測っているの?
ガリレオ温度計の中に入っている液体は水ではなく、水よりも温度による密度変化が大きいエタノールなどの有機化合物です。
そして、この液体に浮かべられているのはガラス製の球体。
それぞれには色のついた液体と、温度を示す金属板が取り付けられているはずです。
また、金属板に刻まれた温度は、上に行くほど高くなっています。
もし、室温が26℃としましょう。
すると、浮かんでいる球体は全て下に下がっていくはずです。
これは、液体の密度が低くなり、軽くなったからですよね。
逆に18℃ではどうでしょうか。
全ての球体が上に行くはずです。
なぜなら、液体の密度が高くなり、重くなったからです。
他の温度でも同じですよね。
このように、液体の密度変化によってガリレオ温度計は温度を測ることができていたのです。
ちなみに球体の中に入っている液体は、さらにガラスの中にあるので、温度の影響はほとんど無いと言えます。
まぁそれを全て込みで重さが考えられ、気温によるわずかな密度変化で温度を示してくれる、繊細な温度計ということができます。
5.さいごに
ガリレオ温度計はおしゃれだし、見ているだけでも癒される気がしますよね。
物によっては今回紹介したタイプではなく、一番低く浮いている球体の温度を示すものもありますので、注意してください。
また、簡易的なガリレオ温度計ならば、醤油さしやナットを使えば、自分で作ることも可能です。
自由研究などの題材にももってこいかもしれません。
当ブログでもいつか作ってみたいですね!
もちろん、市販の綺麗なガラスでできているものは作れません。
これを機に、皆さんもガリレオ温度計を購入してみてはどうでしょうか?