本はいつまでたっても色あせることは無いと思います。
それはたとえ何年、何百年の時が経とうとも
むしろ時が経てば経つほど、偉大な方が残した著書には価値が生まれます。
例えば、コペルニクスがのこした『天球の回転について』やニュートンの『プリンキピア』はその1つですよね。
これらを見て分かるように人類は過去の偉人たちが残した遺産、つまり科学を元に発展してきたのであり、偉大な書物は色あせることなく輝き続けています。
今回紹介する本はおよそ30年前に初版された本『ホーキング、宇宙を語る~ビッグバンからブラックホールまで』です。
この本は2018年3月にお亡くなりになられたホーキング博士が一般向けに書かれた著書で、宇宙やブラックホールについて分かりやすく書かれています。
もちろん、最近明らかとなったニュートリノの研究やヒッグス粒子に関しては書かれた当初では予測段階にありますが、宇宙を勉強したいというその入りとして非常に面白いと思います。
本を紹介するにあたって、そもそもホーキング博士とはどんな方なのか?というところから始めていきます。
1.ホーキング博士
イギリスの理論物理学者であるスティーブン・ウィリアム・ホーキング博士はオックスフォード大学を卒業した両親を持ち、1942年1月8日に生誕しました。
ガリレオが生まれたちょうど300年後であり、このことは著書にもいろいろな場面で出てきます。
俗に言う”インテリ”家族で、ホーキング博士もオックスフォード大学に入学、数学を専攻できなかったため物理と化学を専攻することに。
その後、大学院はケンブリッジ大学へ進み天体物理学者であり現代宇宙論の父の1人と目されるD・シアマの元へ。
そして、大学院に進学した1963年にはALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症し、医師からはほぼ3年の余命宣告を受けます。
しかし、ホーキング博士の場合、奇跡的に病気の進行が遅れ、様々な研究論文を発表していくことになります。
1966年の学位論文では「特異点定理」を証明し、1974年には有名な「ブラックホール蒸発理論」を提唱。
これらの発表は当時物理学者が持っていた常識を覆す結果となり、業績をたたえられローマ教皇庁ピウス11世メダルを授与されました。
さらにはニュートンやP・A・M・ディラックが占めていた地位、ケンブリッジ大学のルーカス記念講座数学教授職に就き、書いた著書こそが『ホーキング、宇宙を語る』であり、全世界1000万部、日本でも110万部を超えるベストセラーとなりました。
最終的には病気が進行し合成音声や意思伝達装置を使った生活を送ることを余儀なくされましたが、それでも最後まで研究に専念された姿はすごいとしか言いようがありません。
また、ウェストミンスター寺院で行われた追悼式では、ホーキング博士ならではの仕掛けがされていました。
一般の申し込みのサイトには申込者の誕生日が2038年12月31日まで設定されており、未来に生まれるタイムトラベラーも招待していたのです。
タイムトラベルについても研究されていたホーキング博士らしい仕掛けはユーモアが溢れています。
2.ホーキング、宇宙を語る
先ほども記した通り、この本は約30年前、ホーキング博士がケンブリッジ大学のルーカス記念講座数学教授職に就かれていた時に書かれた著書です。
サイエンス・ライターとしての才能を持ち合わせていたため、ほとんど数式を使うことなく宇宙やブラックホールについて分かりやすく語ってくれています。
例える例も面白く、分かりやすい。
ブラックホールについて学びたいのであれば、まずこの本を読むことをお勧めします。
ホーキング博士は自分の正しいと思ったこととは違うことに賭け、もし自分が間違ってても賭けにはかったというようなことをしていました。
なかなか面白いですよね。
また、本文中の最後の方では
「ニュートンの時代には、教育のある人間は人類の知識の全体を少なくとも輪郭をつかむことができた。
しかし、それ以後、科学の発展の速度によって不可能になった。」
時代が進むにつれて研究は急速に進んで行った結果、学校で学ぶことは少し時代遅れとなってしまい、もし、最先端についていこうとすれば、そのことについて時間をささげ、より狭い領域に特化し専門家にならなければいけない時代となっています。
もし、統一理論が発見され、単純化、大学で教えれるようにならば、誰もが多少は宇宙について、我々の存在を規定している法則について多少なりとも理解できるはずだとホーキング博士は語っています。
このまま研究が進み、人類は本当に宇宙について完全に理解することができるのでしょうか?
まだまだ謎に満ち溢れているからこそわくわくしてきますよね。
3.さいごに
宇宙についてもそうなんですが、教育についても考えさせられますよね。
確かに現代は研究速度が速すぎて、本当に専門的なことを理解するには時間がかなりかかる気がします。
今行われている教育を常に見直していかなければ、さらに格差は広がりそうです。
子供たちを見て、どうすれば勉強が好きになってくれるのか?
いつも考えているわけですが、まずは大人が勉強を好きにならなくてはいけないのだと思うのです。
子は親の背をみて育つわけですから、楽しんで学ぶという場を大人が作らないといけないですね。
そこにはやっぱり家族間での会話、しかもそれが議論できる状態にあるのが最も理想的なのかもしれません。
<参考文献>