皆様、歴史は好きですか?私は学生の頃、正直とても苦手でした。理系に進めば世界史や日本史をしなくてすむ!と思ってとっても嬉しかった思い出があるほどで、あまり暗記するのが得意な方では無く、当時歴史は暗記科目と思い込んでいたので、しんどいと思ってしまっていました。
しかし、今日は当時の私と同じように歴史が苦手だなという方にお勧めしたい一冊を紹介します。
『日本史サイエンス』
この本を読めば歴史の学び方、見方が変わり、きっと歴史の出来事を考えるのが楽しくなるはずです。
私も最近では歴史、科学、経済学などなどいろんなことが繋がってきていろんなことを学ぶのが楽しいなと思うわけなんですが、皆様はどうでしょう?
この本は科学的な以下の出来事をテーマとし、船舶の設計のプロである著者が科学的な視点でそれぞれの出来事を考察しながら歴史の見方を教えてくれます。
・元寇の文永の役
・秀吉の中国大返し
・戦艦大和
大宰府の手前まで迫っていた蒙古軍はなぜ突然船に引き返したのか?神風が吹いたというのはどういうことなのか?ほんとうに秀吉は8日間で220 kmの道のりを2万の軍勢を引き、引き返すことができたのか?戦艦大和は無用の産物だったのか?などなど
当時の私は歴史の授業を受け、ただそういう出来事があって、そこに意味は無く、それを呪文のように暗記するだけでした。なので、あれ、ここおかしくないか?というように考えたり、本当にそんなことが可能だったのか?などということはもちあわせていませんでした。
しかし、この本を読み、そのような視点を持って考察することができたら、当時の僕も歴史がもう少し好きになれたかもしれません。
科学も歴史もしかり学校のテストは採点をしなければいけないので、答えが決められています。
しかし、実際には歴史であったことを今生きている人間が本当に正しく理解できているとは限りませんし、科学にも答えなどないのです。大事なのは本当にそんなことがあったのか?本当にそうなのか?と考えることです。
答えを決めつけてしまうとそこからは何も生まれませんし、視界が狭くなってしまいます。何も新しい発見は生まれなくなってしまうでしょう。
歴史の出来事もそうですが、身の回りにはたくさん不思議が溢れています。ぜひ、色んな視点を学んでいろいろな見方を見つけていっていただければと思います。
この本はその見方の1つを紹介してくれるのです。
本を読んでみて
元寇とは日本の鎌倉時代にモンゴル帝国が攻めてきた文永の役と弘安の役の2回のことを言いまして、詳しく知りたい方はぜひ歴史の資料集や教科書、Wikipediaを参照していただければと思います。
そんな元寇の文永の役のことがこの本では詳しく考察されています。中でも印象に残ったのは港の深さを考えると、巨大船団が停泊できたのは、言い伝えられている場所では無かったのではというところですね。
また、港の深さだけではなく、文永の役で戦果を挙げた武士である竹崎季長の行動から考えても大宰府まで攻められてはいなかったのでは?ということです。
確かに重要場所である大宰府が陥落するのを目前にして撤退する理由がわからないですよね。
また、その後に神風によって蒙古軍は壊滅的なダメージを受け、撤退していったとされているのですが、武士の活躍ではなく、蒙古軍をおいやったのを神風としたかった理由がなにかあるのかもしれません。
もちろん確実なことは分かりませんが、もっともっと今の科学技術と歴史の専門家が深く関わって調査が進めば、その理由の一面も見えてくるのかもしれませんね。
今回は3つのテーマを考察されていたわけですが、このような視点で歴史の教科書を見ると実際に調査したり、考察してみたくなってきます。
代表的なものでいうとエジプトのピラミッドをどうやって立てたのか?とかモアイ像のこと、大仏の作製にあたってどのような公害が生じたのか?
などなど疑問がどんどん生まれてくるのではないでしょうか?もちろんこれらは代表的なので多くの人がたくさん考察を行っていますが、まだまだ謎が多い部分であるのは間違いないでしょう。
色んな視点で歴史を考えてみるのも面白いですよね。今後もっと科学技術が進歩して、歴史の謎が明らかになってくるのも楽しみです。
例えば最近では炭素の放射性同位体を用いた年代測定の精度が大幅に上がるかもしれないそうです。
これまでは土壌の年代測定は主に葉の化石を用いて行われてきました。しかし、葉の化石はその土壌中から見つかるとは限りません。
そこで目を付けたのが花粉です。花粉はとても小さいですが、どの年代の土壌にも含まれており、それを利用すれば、制度の高い年代測定が可能となります。
これまでは土壌から花粉のみを抽出することが非常に難しかったのですが、立命館大学古気気候学研究センターの中川先生らが年代側的可能な花粉量を数時間程度で、ほぼ100%の純度で抽出できるようにしたそうです。
こういった技術と歴史が組み合わさるともっともっと歴史調査が、考古学が面白くなりそうですね。
ぜひ、皆様も視点を変えていろいろなことを見てみて下さい。
年代測定サービス POLARISについて⇩
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本の詳細
『日本史サイエンス』
著者 播田安弘
発行者 渡瀬昌彦
発行所 講談社