第1回の奈良先端科学技術大学で行った大学体験ツアーに引き続き、第2回大学体験ツアーを神戸大学にて開催いたしました。
今回協力いただいた先生は神戸大学 大学院 人間発達環境学研究科 教授の源利文先生です。先生は現在、環境DNA学会の会長を務めておられます。つまり、環境DNAを研究されている研究者の中でもとってもすごい方!
イベント当日は子供たちにも分かりやすく、そして優しく実験を指導いただきました。その様子をここに綴っていこうと思います。
神戸大学 鶴甲第2キャンパス
源先生の研究室は神戸大学の鶴甲第2キャンパスにあります。
少し駅から遠く、かなり山を登った先にあるので、バスか車でしか行けない場所でした。
環境DNAとは
今回のテーマは『環境DNA』ということですが、皆様は環境DNAをご存じでしょうか?
DNAと言えば、知っている!というかたも多いと思いますが、そもそもDNAとは生き物たちの遺伝情報を担っている物質であり、簡単に言えば、設計図ということができます。
そして、そんなDNAの前に環境がついているわけですが、環境DNAとは簡単に言えば、その地に住む生き物を簡単に確認できる方法です。
一体どういうことなのか?
もし、皆様がこの湖に住んでいる生き物を全て調べなさい!というミッションを与えられたらどうしますか?
湖の中に潜って確かめる?それとも網で捕まえてみる?はたまた湖の水を全て抜いてしまう?といったことを思いついた方が多いと思います。
しかし、これらの方法には問題点も多くあります。
例えば潜って調べたり、網で捕まえたりする方法では、湖に住む生き物を全て捕まえたり、見つけたりすることは現実的に不可能と言えるでしょう。
また、水を全て抜いてしまうというようなことも小さな池であれば可能かもしれませんが、琵琶湖のように大きな湖では、そのようなことは決してできることではありません。
このような問題を解決してくれる方法が環境DNAなのです!
生き物は細胞でできており、その細胞の中にはDNAが入っています。魚の鱗や糞にはその魚の細胞が含まれているため、DNAも含まれているのです。
湖で生きていると、必然的に魚や生き物たちは鱗や糞を落としていくことになります。つまり、湖の水の中には彼らのDNA、つまり、設計図があるということです。
もちろん湖の水の中に含まれているDNAの量はごく少量なので、増幅させる必要がありますが、水をすくって検査するだけで、そこに住んでいる生き物の種類や量などの情報を読み取ることができる。これが環境DNAなのです。
今回はそんな環境DNAについて、子供たちに学んでいただき、さらには実際にビオトープにカワバタモロコという小さな魚が住んでいるのか?、水をすくって調査していただきました!
さらに環境DNAについて詳しく知りたい方は、環境DNA学会の前会長である東北大学近藤倫生教授のインタビュー動画をご覧ください↓私くもMが近藤先生にインタビューしてきました!
環境DNAの実験を体験!
まずは、源先生から簡単にDNAについて、環境DNAについて説明をしていただきました。
皆さんとても真剣に聞いていました。
講義が終わったら早速実験!カワバタモロコの環境DNAを採取するため、実験室の前にある小さなビオトープで、まずは水を汲んできました。
カワバタモロコはメダカサイズの小さな魚なのですが、メダカとは違って物凄く警戒心が強く、すばしっこいため、水を汲むときに見れた人は超ラッキー。
何名かのお子様は見れた!と言ってくれていました。
ビオトープで汲んできた水は、水に含まれている細胞を集めるためにフィルターでろ過します。なかなかピンセットを扱ったことが無い皆さんは、少し苦労していましたが、とても上手にこなしてくれていました。
次はマイクロピペッターを使って、ろ過した紙に含まれるDNAを取るための液体をかけていきます。マイクロピペッターを使うのは皆さん初めてでしたので、練習から頑張ってくれていました。
次は遠心分離機を用いて、抽出液を遠心分離します。遠心分離機を初めて見る子供たちは興味津々。あまりの回転の速さにびっくりしていました。
そしていよいよDNAを増幅させるための準備をマイクロピペッターを駆使して行ってくれました。練習のかいあって、みなさんとても上手にマイクロピペッターを扱ってくれていました。
最後はDNAを増やす機械がある部屋に行って結果を確認。なんと、大学生の実習と同じくらい綺麗に結果が出てくれました!みなさんとても優秀です!
さいごに
実験の後は、先生やTAの皆様への質問タイム!子供たちからたくさんの質問が飛び出しました。
ご参加いただいた皆様の将来に少しでも役に立つ経験になってくれれば嬉しいです!
今回ご協力いただきました源先生ならびにTAの皆様、そして深江化成の皆様、遠い所ご参加いただいた皆様に感謝を申し上げます。
ほんとうにありがとうございました!
これからもくもMはこのような活動をたくさんしていけるよう努力してまいりますので、引き続きよろしくお願いいたします。