寒い冬には欠かせないグッズ『カイロ』。コンビニでも30円とお手軽に手に入るので、ついつい買っちゃいます。
買ったカイロは袋から出すとみるみるうちに温かくなっていきますよね。最近のカイロは改良されてすぐに温かくなってくれます。
では、ここで問題です。カイロはどうやって温かくなっているのでしょうか?
今回はカイロについて解説していきましょう。
1.鉄の酸化
実はカイロは中に含まれている鉄が錆びることで温かくなっています。一体どういうことなのでしょうか?
鉄が酸化するということは、鉄が錆びるということです。
錆びるとは鉄が水によって電子を引き抜かれ、イオンになることで水酸化物イオン(OH⁻)と結びつき、その後、水分が抜けていき赤錆び(Fe₂O₃)となることです。
そして、この酸化反応は熱を伴う反応なのです。このような反応を「発熱反応」と言います。まさにこの発熱反応を利用しているのがカイロというわけですね!
本当に?と疑問に思う方、そのことは使用済みのカイロを開けてみればすぐにわかります。
ご覧のように中に入っている鉄が赤っぽくなっていますよね!⇩写真よりも実際に見た方が赤いので、ぜひ使用済みカイロを開けてみて下さい!
ここで鉄の酸化反応でカイロみたいに熱を出すのであれば、鉄製品全てが熱くなるじゃないのかと疑問に思った方が居られるかもせれません。
しかし、身の回りの鉄製品は水に触れただけで、そんなに熱くはなりません。
熱くならない1つの理由はコーティングされているので鉄に水分が触れないということ。また、鉄の酸化反応は通常では非常にゆっくり進むため、いきなり熱くなることはないのです。
ではカイロはどうやってゆっくり進む酸化反応を利用し熱くなっているのでしょうか?
2.カイロはどうして温かくなるの?
カイロには以下の物が含まれています。
『鉄分』『水』『塩類』『バーミキュライト』『活性炭』
これらが揃うことであんなにも温かくなることができるのですが、それぞれどのような働きをしているのか見ていきましょう。
①鉄分
鉄分は熱源となります。この鉄の酸化反応によって熱が発生しています。
②水
先ほども申し上げたように鉄の酸化反応には欠かせない存在です。水によって鉄の電子が奪わなければ、酸化反応は起こりません。
③塩類
塩類はポイントとなります。
「海の近くにある家は錆びやすいから気を付けなければいけない。」そんなことを聞いたことはありませんか?
実は塩類が含まれていると、赤錆びまでの途中の反応が促進されます。それは塩類に『還元作用』があるからです。
還元作用とは、他の物質に水素や電子を与えたり、酸素を奪う作用。塩類のこの働きによって、酸化反応が促進されているのです。
銅と10円の実験でもそのことを確かめることはできます⇩
10円玉をお酢に浸すとどうして綺麗になるの?
④バーミキュライト
バーミキュライトは観葉植物などの保水土として使われている土です。なぜ、土が入っているのか?
カイロを振ってみて下さい。サラサラしていますよね。水が入っているはずなのにサラサラしています。
これはこのバーミキュライトが小さな穴に水を取り込んでくれているからなのです。だから水が入っててもべたべたになりません。べたべたしたカイロとかは嫌ですよねw
⑤活性炭
最後は活性炭。活性炭は普段どのように使いますか?冷蔵庫や靴箱の中にもあるはずです。つまり、消臭などに使われていますよね。
活性炭はその表面に細孔をたくさんもっています。この細孔に臭いの物質などが吸着することで消臭しているのです。
では、カイロではどのように働いているのでしょうか。
カイロでの活性炭の働きは、その細孔に空気を取り込み、鉄が酸素と出会いやすくしてくれているのです。つまり、活性炭もまた鉄の酸化反応を促進してくれています。
本来ゆっくり進むはずの酸化反応を『塩類』と『活性炭』によって速めているのです。その結果、カイロはすぐに温かくなってくれているというわけですね。
3.さいごに
カイロは鉄の酸化反応で温かくなっているということはお分かりいただけたでしょうか?つまり、酸素が無ければ鉄の酸化反応は起きないということです。
カイロって何時間も持つけれど、最後までずっと使いきることの方が少なくないですか?実はそんなあなたに裏ワザがあります。
当然、酸素を無くしてやれば酸化反応は進まなくなりますよね。つまり、空気から遮断してやばいいのです。
最初に入ってあった袋にカイロを入れて密封します。ただ、少しでもあいてちゃだめですよ!
使いたいときにはカイロはまた取り出して、最後まで使い切ることができるということです。ぜひやってみて下さい。