今回は『死』について考えさせられ本をご紹介しようと思います。
「動物学者が死ぬほど向き合った「死」の話」
この本は様々な生き物を通じて、『死』と向きあっていきます。
鳥の死体を受け取る所から始まり、死とはどういう現象なのか?
そもそも生きているとはどういうことなのか?
老いるとはどういうことなのか?
なぜ、生き物たちは死を避けるべく、進化してこなかったのか?
作者がサクラスガ、ブタ、ホリウッド・グラウンドウィーバーにアリ、カエルなどの様々な生き物たちに出会い、その行動を観察することで、答えを探していきます。
今回は本の紹介とともに、『死』について考えていきたいと思います。
1.『死』
私たち人間や多くの生き物には生きている限り、『死』がいつか訪れます。
人はそれを恐れるかのように、その話題についてあまり話さないかもしれません。
例えば、幼い子にはそれを眠っているだけだよ。
などと、その言葉をはっきりとは伝えませんよね。
それは、大人にとっても『死』は恐ろしい存在であるからです。
しかし、この意味をしっかりと考え、理解しようとすることは生きる意味にも繋がってきます。
作者は作中で自分の娘に『死』を理解してもらうよう、真剣に向き合っていました。
鳥の死骸から始め、親類の死へと、立ち会った小さな子供は、その意味を理解することはできたのでしょうか?
ぜひ、そこは本を読んで確かめていただきたいと思います。
では、そもそも『死』とはどのようなげんしょうなのでしょうか?
心臓が止まること?それとも息をしなくなった状態?
心臓が止まっても現代の医療技術を用いれば、数分であれば蘇生することができます。
また、息を止めた状態は死んでいるということですか?
息を止めても死んでいるということではありませんよね。
例えば、水分がなくなれば、代謝機能を著しく低下させ、水分にありつけるまで、その状態を維持する生き物がいますし、最近では死んだブタの脳細胞の機能の一部を蘇らせることにせいこうしたというニュースが報道されていました。
これらは死んでいる状態であると言い切れるのか?
つまり、実は『死』を厳密に定義することはとても難しいのです。
2.動物たちは死を理解しているのか?
動物たちが、死んだ仲間を弔っているような映像を一度は見たことがあるのではないでしょうか?
小ゾウが死んでしまい、悲しむ母親のゾウ、死んでしまった我が子をしばらく抱え続けるチンパンジー。
飼い主が無くなってしまい、餌を食べれなくなる犬など、様々なエピソードも耳にします。
しかし、彼らが本当に死というものを理解しているのか、私たちにはわかりません。
動物たちは『死』をきちんと理解することができているのでしょうか?
我々には確実にそれを判断するすべがありません。
人間は『死』を理解することができる唯一の動物なのでしょうか?
3.なぜ生き物は死を避けるように進化しなかったのか?
生き物たちの多くは寿命が存在し、死が訪れます。
私たち人間も長くいきれても100歳ほどですよね。
ではなぜ、死を避けるように生き物たちは進化してこなかったのでしょうか?
自分が永遠に生き続けることができれば、種が途絶えることはなさそうですが、自らの『死』を受け入れる理由は様々であると考えられます。
ある蜘蛛は交尾中に雄を食べてしまします。
自らが食べられることで、それが栄養となり、子供たちの食料を奪うことが無くなるから生存に有利であると考えることができますよね。
つまり、さらなる種の繁栄を考えた時、自らが犠牲になった方が有利に働くのです。
また、ある動物は、自分の身が朽ち果てるまで、交尾を止めることはありません。
少しでも自分の子孫を残すため、自らの命を燃やし尽くし、行動するのです。
生き物たちがこの地球の環境を生き抜く中で、自らの『死』を受け入れる方が優位であったから、今の私たちがいるのでしょう。
作中でも様々な生物の『性』と『死』について触れられています。
4.不老不死
この本のなかでも不老不死について触れられているのですが、私自身、気になったのでこんなアンケートをしてみました。
今、生き物たちの『死』についての本を読み終わったんですが、皆様に質問!
「不老不死が実現できるならば、あなたは望みますか?」
私は望みません!(笑)
— くもM@身近な科学・学びを遊びに (@science_kido) 2019年4月14日
多くの方にご回答いただき、本当にありがとうございます!
結果は私の予想とは全く違うものとなりました。
私は半々くらいなのかな?と思っていたのですが、約7割もの方が不老不死は嫌だということがわかりました。
何件かご意見も頂いたのですが、やはり、時間が限られているからこそ、頑張って生きることができるのだと。
今が大切に感じることができるのは、死があるから。
とおっしゃる方がおられ、まさにその通りであると感じたわけです。
一方で不老不死が良いという方は、不老不死になれば、たくさんのことに挑戦することができるから!ということで、確かに不老不死になることができれば、時間を気にせず、生きることができそうです。
まさに不老不死を目指す研究もされているのは事実であり、もし、お金があれば不老不死を実現できるとなった場合、あなたはどうしますか?
正直、死というのはもの凄く怖いですし、ずっと生き続けるというのもまた、もの凄く怖いと私は思います。
5.さいごに
『死』に対してここまで向き合った本はなかなかないので、ぜひ、皆様にも読んで頂きたい1冊です。
読んでみて下さい!
今回はなかなか深い内容になったわけなんですが、向き合うことって大事ですね!