夜空を見上げた時、皆さんは何を考えますか?
星が綺麗とか、宇宙は壮大であるとか、そういったことを考える人も多いかと思います。
私もそのうちの一人であり、特に今の時期に見えるオリオン座が好きで、毎日空を見上げています。
しかし、この本の著者である多田将先生はこのようなロマンティシズムを一切感じたことが無いそうです。
そんな方が書いた「宇宙」の本。
それはそれでとても面白いんじゃないでしょうか。
この本はロマンティシズムな宇宙の魅力についてではなく、私たち人間がどれだけ宇宙について知ることができたのか。
そして、そこに至るまでにはどのような実験がなされ、どのような考え方があったのかを教えてくれます。
難しく思える物理のお話も多田先生のユーモアあふれるわかりやすい例えによって、すっと入ってくるはずです。
この本を読めば夜空を見上げた時、そして宇宙について考える時、少し違った考え方ができるようになるのではないでしょうか。
また、少しまえに話題となった「ヒッグス粒子」のことや、スティーブン・ホーキング博士がいかにして有名になったのかも分かりやすく簡単に書かれているので、物理があまり得意でない方にもぴったりな一冊であると思います。
ぜひ、前著である『すごい実験』と併せて読んでみてはいかがでしょうか?
この本は高校生でもわかるように公演をまとめた本です⇩。
1.本を読んでみて
相変わらずめちゃくちゃキャラが濃い多田先生。
金髪で長髪。
科学者のイメージとは全く異なる存在ですよね。
しかし、そもそも科学者が白衣を着ているのはただのイメージだし、いろんな研究者の方が居られるわけで、白衣を着ない実験だってたくさんあります。
もちろん化学系の実験や培養の実験では、私服が汚れてしまってはいけなかったり、菌が入らないように白衣を着ますが、私が学生時代に行っていた結晶構造解析の実験では着ることなかったですしね。
イメージってこわい(;・∀・)
いきなり個人的なお話になってしまうんですが、多田先生にぜひお会いしたい!
年に何回も公演をされているそうなので、来年は関西でなくても東京でも公演を聞きに行きたいなと思っております。
ちょと本題から話がずれてしまいましたが、本のお話に戻りましょう。
この本で最も印象的だったのがやはり『暗黒物質』についてです。
なんで暗黒物質と呼ばれているかと言いますと、未だにその存在が証明されていないからです。
そして、宇宙は未だに発見されていないこの暗黒物質が無ければ説明することができないことがたくさんあるのです。
例えば、銀河の回転速度についてだとか、惑星の分布についてだとか。
太陽系であれば、太陽の近くに行くほど惑星の回転速度は速くなります。
物理の法則に従えばそうなるはずなのです。
しかし、銀河においては中心に行くほど早く回っているわけではなく、一定の速度で回っているのです。
これを証明するには暗黒物質が必要になります。
また、宇宙誕生から星の分布のシュミレーションを行った場合、私たちが確認できている物質がわずか4%にすぎない状態でなければ、その分布は矛盾してしまうのです。
明らかに宇宙は偏っている。
これを聞いただけでも宇宙は謎だらけなんだなと思うのではないでしょうか。
では、そもそもなぜ暗黒物質と呼ばれるものを人々は見つけ出すことができないのか。
それは反応性がもの凄く低いからです。
私たちが認識している物質であれば、それを見つける方法がいくらでもあるため、すぐに見つけることができます。
しかし、反応性が低いということはもの凄く見つけにくいということ。
あまりにも小さくて、そして反応性が低いので、たくさんあってもそれが本当にあることを証明できないのです。
チェレンコフ光のお話をした時⇩ニュートリノについても少し触れましたが、ニュートリノだってもの凄く反応性が低いので、私たちのまわりにも、ものすごくたくさんあるにも関わらず見つけることがとても困難なんですよね。
ニュートリノよりも反応性が低いってどうすればいいんだよ!っていう状態であるわけです。
もちろん暗黒物質の目星が全くついておらず、闇雲に探し回っているわけでもありません。
目星をつけ試行錯誤を繰り返し、新たな検出器を作りだしたりと日々研究者の皆様は頑張ってくださっています。
そのおかげで私たち人類は、一歩一歩着実に宇宙のことを理解しようとしているのです。
もちろんそれが完全に正しいかはわかりません。
しかし、今どんなことが分かっていてどんなことが分かっていないのかを知ることはとても大切なことだと思います。
ぜひ、この本を読んで宇宙への興味を湧かせてみてはいかがでしょうか。
とにかく地球なんて、私たちなんて、広大な宇宙のなかのちっぽけな存在でしかありません。
空を見上げ宇宙の広大さを感じることで、悩みなんかは吹っ飛ぶはずです。
好きなことを好きなだけやればいいんだと思います。
あ、あと多田先生が本の終わりの方にビックバンのお話から相転移のお話にちなんで『魔法少女まどかマギカ』のお話をしていたので、私も見たくなってみました!
いや~面白かったですね。
深い!深かった!
今度はそのことを記事にしようと思います⇩
【準備中】
2.本の詳細
『すごい宇宙講義』
2013年6月24日 初版
多田将 著
上路ナオ子 イラスト
株式会社イースト・プレス 発行
【関連著書】