今日紹介させていただく本は『高校で教わりたかった化学』です。
化学を教える人はもちろん、大学へと進学が決まった学生さんに特におすすめしたい一冊です。
高校生には少し難しいかなという内容なのですが、しっかりと化学を理解したいと考えているのであれば、読んだ方が良いと思います。
ぜひチャレンジしてみてください。
どうしても高校の化学の教科書は試験に合わせた内容となってしまい、難しいところを省略したが故に現在の形態となってしまっています。
そのため、きちんと進んでいける子とどうしても挫折してしまう子に分かれていってしまうのも現実問題としてあります。
この本が教えてくれるように電子の軌道やエネルギーに関してもう少し踏み込んだ方がより理解できるようになるのかもしれません。
そんなことを感じさせられる一冊。
米国化学会が刊行している教科書と日本の教科書を比べた時、約2倍のページ数でありもう少し日本も内容を増やしても良いのかなと思います。
今後、教科書はどのように変わっていくのでしょうか?
2.本を読んでみて。。。。。
この本を読むことでしっかりとしたイメージを持ちながら化学反応をとらえることができるようになると思います。
化学反応はただ、これとこれを混ぜるとこの物質になる。
ではなく、しっかりと理論があり、その理論を理解すれば化学は暗記だけの科目では無くなってくるはずです。
どうしても生物や化学は暗記というイメージが大きいかもしれませんが、そのようなイメージが少しでも無くなると良いですね!
また、この本でなるほどと思ったことの1つに気体1 molの体積があります。
高校では気体1 molの体積は、気体の種類によらず22.4 Lであると習ったはずです。
しかし、高校の化学では水素2 gと酸素32 gが同じ体積になる理由を明確に示すことなく、ただそうなると教えるので、どうしてもイメージがつかない人も多いのではないでしょうか?
また、22.4 Lは0℃・1気圧の状態のことであり、大学試験までであれば、これを25℃・1気圧に合わせ25 Lとしておくことで計算も簡単になるというところに私はなるほどと感じたわけです。
もし、計算が楽になればそこに力を割かなくて良いので、より理解は増すのではないでしょうか。
わざわざ小数点を付け、計算を難しくする必要はないのです。
また、著者のような研究者からすれば高校の教科書でしか習わないことも多くあるということです。
定比例の法則・倍数比例の法則や物質量などなど、そのせいで高校から大学へ進学し学び始めたとき、絶壁を登らせられるかのごとく感じてしまうのではないのかと。
それは40年前から今も変わらないそうです。
大半の先進諸国が教科書を自由放任する中、全教科の教科書を国が厳しく取り締まる日本。
なぜだろうか?
検定があるドイツやノルウェーでは「最低これだけ書けば、あとは自由」というスタンスだそうです。
もっと世界を見て、これからもっと考えていかなければいけないかもしれませんね。
科学はとてつもないスピードで進んでいます。
現在でも身の回りにはきちんと理解できている技術というのは少ないわけで、しっかりとした科学リテラシーを身に着けるためにより一層教育に力を入れていかなければいけないと感じます。
2.本の詳細
『高校で教わりたかった化学』
発行日 2008年2月25日
著者 渡辺 正・北条博彦
発行者 林 克行
発行所 株式会社 日本評論社
3.関連書
こちらはシリーズもので、以前生物Verを紹介しました⇩
ぜひ合わせて読んでみてください。