皆様こんにちは!今回は久々に書籍の紹介をしようと思います。今回紹介する一冊はこちら。
『考えるナメクジ』松尾亮太 著
この本を読めば間違いなくナメクジのイメージが変わります。
皆様のナメクジのイメージはどのようなものですか?雨の日になるとたくさん出てくる害虫、ちょっとぬめぬめしていて気持ち悪い、塩をかけたら消えてしまう。などなどあまりプラスのイメージは持っていないのではないでしょうか。
確かにナメクジは人々が大事に育てた農作物を食い荒らす農業害虫として、農水省や環境省に認定されています。しかし、この本を読み、ナメクジの生態について知れば愛くるしく見えてくるはずです。
もちろん、農作物を荒らすのはやめて欲しいところではありますが、、、
本を読んでみて・・・・・・
もっとも衝撃的だったのはナメクジの光感受能力です。
ナメクジはカタツムリのように殻をもっていません。そのため、乾燥にはとても弱く、晴れの日はジメジメした日の当たらないところにいなくては干からびて死んでしまいます。
光の感知は眼によって行われ、その眼は大小2対ある触覚の大きい方についています。そして、その1つの眼には視細胞が300個程度しかなく、物体の形を見極めるだけの画素数はないと考えられています。
しかし、その視細胞には発達した微絨毛と呼ばれる光センサーが存在し、光の情報は脳へと伝達されています。
さらにナメクジは人などの脊椎動物の網膜とは異ななり、オプシン分子を含む領域、つまり微絨毛がレンズの側に向いています。脊椎動物ではこの位置は逆であり、レンズからは背を向ける形で並んでいるのです。このおかげでナメクジは逃すことなくしっかりと光を感受することができます。
そして、最もすごい所は眼を失っても光を感受することができるということです。なんと、頭部にある脳で光を感受することができるんです。
両目を切除したナメクジも暗い場所へと逃げ込むことができます。これは、ナメクジの脳には視物質タンパク質であるオプシンが存在しているからであり、脳に直接光を当てると脳のニューロンが活性化する様子も記録されています。
何としてでも暗闇に避難するという能力であると言えるでしょう。そんな能力を持つナメクジはとても魅力的ではないでしょうか?
ちなみにナメクジに塩をかけると消えるのではなく、水分が出ていってしまうのですよ。
この本を読んでナメクジの研究に触れてみてはいかがでしょうか。きっとナメクジが魅力的に見えてくるはずです。
本の詳細
『考えるナメクジ』
著者 松尾亮太
発行者 古屋信吾
発行所 株式会社さくら舎