今回ご紹介する本は生物が好きな人にはもちろん、生物が少し苦手だなと感じている方にも読んで欲しい一冊です。まさに全員読んだ方が良いってこと。
『若い読者に贈る 美しい生物学講義 感動する生命のはなし』
生物学を学んできた人であれば難しいことはなく、むしろ当たり前であるというような内容かもしれません。
しかし、その見方がとても面白いので、内容を知っている人にこそお勧めできる本です。
科学は大きく発展し、現代では「万能の天才」と呼ばれる人はいなくなってしまいました。
かつてのイギリスの自然哲学者であったロバート・フックのように。。。
彼は物理学ではフックの法則を提唱し、生物学では細胞を発見、cellと名付け、建築家としても有名でした。
他にもレオナルドダヴィンチやミケランジェロなど、少し昔には万能の天才と呼ばれる偉人が多くいました。
しかし、現代では物理学、生物学、化学、地学と大きく分けられ、その全てに精通することは不可能となってしまったのです。
とはいえ、それらは人が勝手に定めたもの。科学はすべてが繋がっており、できることなら全てを理解したいものです。
とはいえそれは到底無理なので、少しでも他の分野のことに興味を持ち、視野を広げることが大切となってきます。
この本はまさにそんなことを教えてくれます。
著者は生物学に興味を持ってもらいたくて書いた本であり、「自分が若いと勝手に思っている読者に」、つまり何歳でもいいから好奇心旺盛な人に読んで欲しいと語っています。
この本を読み、科学の面白さ、そして生物の面白さを感じてみてはいかがでしょうか?生物はやっぱりおもしろい!
目次
本を読んでみて……….
生物の誕生から進化まで、わかりやすく解説してくれています。
そして、最後の方には花粉症やがん、iPS細胞などの最近の研究についても書かれています。
そんな中、印象に残ったお話を紹介しましょう。
ヒトのお話です。
人は高度な文明を築き上げ、他の生物とは異なる、一番優れた種であるように感じている人も少なくはないのかもしれません。
しかし、そんなことはありません。
現在、生存している地球上のすべての生き物たちは誕生してから約40億年、生き残ってきたわけであり、それぞれの今の形が進化の最後にあらわれている種なのです。
また、生き物たちは生きている環境に適した能力を持ち、それぞれの環境に対して優れている生き物と考えることができます。
人間は早く走るチーターには勝てませんし、コイのように水中では生きることはできません。
また、膨大なエネルギーを脳に費やす人は他の生物よりも多くの食料を食べなければいけません。
「ある条件で優れている」ということは「別の条件では劣っている」ということであり、全てにおいて優れた生物は存在しないのです。
進化は進歩ではありません。まさにそれに気づいたのがチャールズ・ダーウィンというわけで、 人こそが進化の頂点というわけではないのです。
本の詳細
『若い読者に贈る 美しい生物学講義 感動する生命のはなし』
著者:更科功
発行所:ダイヤモンド社