私たちの生活の中で太陽の存在は切っても切り離せません。
そして、そんな太陽で気になることと言えば紫外線ではないでしょうか?
日の光を浴びるということは紫外線をもろに受けているということです。
つまり、日に焼けてしまいますよね。
特に女性の多くはこの日焼けを防ごうと日焼け止めは欠かせないはずです。
では、そもそもどうして日の光をつまり紫外線を浴びることで、黒くなったりシミができてしまうのでしょうか?
疑問に思いませんか?紫外線が当たることで肌が真っ黒こげになっているわけではありませんよね。
肌が炭になったらえらいことです。では、なぜ黒くなってしまうのでしょうか?
今回はそもそも紫外線とは何か?ということから説明していこうと思います。
1.紫外線
紫外線とは読んで字のごとく、可視光である紫(380 nm)よりも外にある、短い波長の光です。
そもそも光は波であり、上の図のようにその波長によって色の見え方も変わっててきます。
私たちの目にすることのできる波長は可視光線と呼ばれ、その領域外の波長は見ることができないのです。
そして、可視光よりも短い波長は紫外線、長い波長は赤外線と呼ばれています。
紫外線と一言で言っても可視光よりも短い波長の光のこと全部をさしているので、紫外線は以下のようにさらに大きく3つに分けられています。
・UVA 長波長紫外線
・UVB 中波長紫外線
・UVC 短波長紫外線
そして、この中でも私たちの生活に大きく関わってくるのは、UVAとUVBです。
それはなぜなのか?
オゾン層に吸収されつため、UVCはほとんど地上には届いてこないからです。
オゾン層について詳しくは⇩
もし、オゾン層が無くUVCが私たちのもとに届いてくれば大変なことになってしまいます。
なぜならば、UVCは生物が地上に住めなくなってしまうくらい恐ろしい力を持っているからです。
そもそも太古の地球で生物が水の中から地上に上がれたのもこのオゾン層が形成されたことで、恐ろしいUVCから守ってくれるようになってくれたからというわけです。
では、私たちの生活に大きく関わるUVAとUVBについてみていきましょう。
2.UVAとUVB
オゾン層によってUVBも大半は吸収されるため、届いてくるのはUVAの方が多いです。そのほとんどがUVA(約95%)です。
UVAは冬でも朝でも夕方でもあまり変わらず私たちに降り注いでいます。
実はこのUVA、波長が長い分私たちの肌の深いところまで進攻し、コラーゲンなどのお肌のタンパク質を変性させてしまうのです。
なので、お肌の弾力性などを守るためには冬でも肌の紫外線対策はしなければいけないということです。
そして次はUVB。
こちらは波長が短いので、深いところまではいきませんが、表皮の基底層の細胞を攻撃します。
基底層は表皮の細胞を作る重要な細胞で、常に分裂を繰り返している部分であり、そんな基底層が攻撃されれば大変なことになりますよね。
そもそもどのように紫外線が攻撃しているのかと言いますと、DNAをぶった切ってくるのです。なんとも恐ろしいですね!
しかし、ご安心ください!
細胞にはきちんとDNAを修復する機能がありますので、ほとんどの場合は大丈夫です。
そもそも紫外線だけがDNAを損傷させる要因ではないので、過剰になりすぎないでください。
ただ、この修復する時にミスが起きると大変なことになるのです。
それが『皮膚ガン』。
うまく修復されず運が悪ければダメな細胞がどんどん増えて行ってしまい、皮膚ガンになってしまいます。
UVBを過剰に浴びることは皮膚ガンのリスクを高めていることには間違いありません。
以前まではUVBだけが皮膚ガンのリスクがあると言われていましたが、最近の研究ではどうやらUVAにも危険があるそうです。
日焼けマシンはこのUVAを利用しているので、皮膚ガンのリスクを高めていることは間違いないようです。
もちろん私たちの身体には免疫も存在し、もしがん細胞ができても排除してくれる機構が備わっています。身体の中では日々がん細胞との戦いが繰り広げられているということも忘れないでください。
その均衡が破られた時、癌になってしまうのです。
ここまで紫外線に対してマイナスなイメージしかありませんが、良いことももちろんあります。
それが、人の皮膚は紫外線を浴びるとビタミンDを合成してくれるということです。
このビタミンDは血中のカルシウム濃度を保ち、丈夫な骨を作ってくれる役割を担います。健康のためにも適度な日光浴は必要であるということですね。
では、そろそろ本題に!
紫外線をあびると肌はなぜ黒くなってしまうのでしょうか?
3.どうして日に焼けると黒くなるの?
紫外線が私たちの皮膚に良くも悪くも様々な影響を与えていることがわかりました。
そもそも皮膚は攻撃されるだけで何の抵抗もしていないのか?そんなことはありません。
大事な基底層の細胞を紫外線から守るために、『メラニン色素』というものを分泌しています。
紫外線が肌にやってくるとしましょう。
すると、基底層の細胞を守ろうと表皮に存在するメラノサイトと呼ばれる細胞がメラニン色素を分泌するのです。
このメラニン色素が紫外線を吸収してくれるので基底層の細胞が守られるというわけ。
メラニン色素は黒色の色素なのでもちろん肌も黒くなります。
つまり肌が黒くなる正体は細胞を守るために分泌されたメラニン色素というわけですね!
日焼けして最初は赤くて後から黒くなるのは、メラニン色素が分泌された層がだんだんと上に上がってくるまで時間がかかるからです。
そもそもなぜ赤くなるかは紫外線が真皮の血管まで到達しその血管が充血して炎症を起こしているからです。
この赤くなることをサンバーン、そしてメラニン色素によって黒くなることをサンタンと呼んでいます。
また、メラニン色素が肌に残ってしまったり、過剰に分泌されるとシミの原因にもなってきます。
メラニン色素はいい奴だけど、シミになられるのはいやですね。
4.日焼け止めやサンオイル
日焼けをしないために日焼け止めは必須ですよね。
また、うまく肌を黒くするためにサンオイルを塗ったりしますが、これはどういう仕組みなのでしょうか?
実は基本的には日焼け止めとサンオイルは同じでどちらも紫外線から肌を守っています。
しかし、サンオイルは日焼け止めよりも紫外線から守る能力が低いため、日焼けする程度の紫外線は浴びることができるのです。
つまり、過剰な紫外線を浴びるのを防いでくれているのですね。
そして、日焼け止めには以下の2種類の紫外線を防ぐ方法があります。
・紫外線吸収剤
・紫外線散乱剤
紫外線吸収剤は肌に塗ることで紫外線を吸収し、そのエネルギーを熱や赤外線に変換し放出します。
化合物はその構造によって吸収する波長が違うのですが、上手く吸収する構造の化合物を入れることで紫外線を吸収し、そのエネルギーで化学反応を起こします。
また、紫外線散乱剤は肌に塗ることで紫外線を反射したり、散乱させることで我々の肌を守ってくれているのです。
紫外線を過剰に浴びないためにも、日焼け止めやサンオイルは必須ですね。
5.人種による肌の色の違い
人間は肌が黒かったり、白かったりと人種によって肌の色が異なります。
これにはやはりメラニンが大きく関係しているのです。
メラニンを分泌する細胞であるメラノサイトの数は実は変わらないのですが、メラニンを分泌する量が大きく異なるのです。
すなわち、黒人はメラニンの分泌が多く、白人はメラニンの分泌が少ないということになります。
紫外線が強い地域の方はメラニンを大量に分泌できなければ困りますよね。
住む地域の紫外線量の違いで、人種によって分泌できるメラニンの量が変わってきたのだろうと考えられます。
これもまた生命の神秘ですね。
6.さいごに
最近オーストラリアでは皮膚ガンの患者が急増しているそうです。
やはりオゾン層の破壊で、紫外線の吸収が衰えてきたということが原因の一つであると考えられます。
また、オーストラリアは紫外線が非常に強い地域です。
しかし、オーストラリア人はイギリスからの移民がとても多く、白人が多い国です。
黒人に比べて、白人はメラニン色素の分泌量が少なく、厳しい紫外線に対して抵抗が強くありません。
このことから皮膚ガンが増えているのだろうと考えられています。
日本も他人ごとではない可能性が出てきています。
いつまでも健康にいるためにきっちりと紫外線に対して知識をつけ、対策を取っていきたいですね。