2024年6月1日、京都にあるFabCafe Kyoto / MTRL KYOTOにて、ワトソン科学教室の第4弾を開催させていただきました。
2022年12月に初めて奈良先端科学技術大学で、ワトソン科学教室を開かせていただいてから、1年半。その後、神戸大学で二回、そして、引き続き、今回の会を開催することができました。
今回は、京都大学で宇宙と雷の研究をされている榎戸先生、金沢大学でサイエンスコミュニケーションの研究をされている一方井先生、そして、ワールドチョコレートマスターズに日本代表として2回出場され、世界4位に輝いた実績を持ち、京都の寺町にお店を構える垣本さんにご協力いただき、宇宙とチョコという異色のコラボレーションが実現しました!
日本が誇るチョコレート職人の凄さ
これまで、ワトソン科学教室は、研究者と子供たちが交流しやすいような雰囲気を出したイベントにしたいという思いで進めてまいりました。
また、子供たちに研究者という選択肢だけではなく、街で頑張る職人さんや、いろんな職種についても知っていただきたいという思いもあり、前回の神戸大学のイベントでは、パン職人の方をお招きし、お話をしていただきました。
そして、今回は、世界的にも有名な垣本シェフにご参加いただけることになり、『宇宙』をイメージしたチョコレート作品をご厚意で持ってきていただきました。
こちらの作品は、垣本さんのお弟子さんによる作品だそうです。打ち合わせの時に、榎戸先生が垣本さんへ、宇宙をイメージしたチョコなんて用意していただけますか。というお話から生まれた作品です。
私を含め、イベントに参加した全員がそのすごさに目を奪われました。
かぶりつきたくなりますが、こちらの作品は賞味期限切れのチョコを使用しており、また違う作品に生まれ変わるそうです。
丸のボール以外は、全て型に流し込むわけでは無く、手で作っていくとのこと。しかも設計図などは無く、頭の中でイメージしたものを作り上げていくそうです。
さらには、イベントの参加者全員が食べることができるチョコレートをご用意下さり、4種類の味を楽しませていただきました。
写真はイベント前に飾りつけて下さっている垣本さんです。
宇宙と雷の研究
イベントが始まり、まずは榎戸先生による宇宙と雷の研究のお話です。
榎戸先生が垣本シェフが作ってきてくださった作品に即興で地球の写真を重ねておられました。
NASAでも研究されていたことがある榎戸先生。現在は宇宙から降り注いでいる宇宙線を観測し、地球からはるか遠くにある中性子星ということを調べています。
宇宙線は目に見えませんが、わたくしたちにたくさん降り注いでいます。宇宙線がやってくると光る、というような装置を手にとってもらい、わかりやすく解説いただきました。
また、それとは別に、榎戸先生は、雷で起こる現象についても研究されています。
雷はものすごく大きな電圧を持っており、雲から地表へと落ちていきます。
榎戸先生は、雷が落ちる時、宇宙でおこるようなすごい現象が起きていることを世界で初めて観測し、論文として発表されました。
そして、現在は、雷が発生しやすい地域の人たちと協力し、雷を観測するプロジェクト「雷雲プロジェクト」を始動し、研究を進めておられます。
今回イベントに来てくださった金沢大学の一方井先生は、こちらのプロジェクトを一緒にすすめておられます。
共通点はモノづくり
榎戸先生の研究のお話で頭を使った後は、みんなで垣本さんのチョコをいただきました。
垣本さんには、チョコレートはどのようにできるのか?どのように味を重ねていくのか?などなど、チョコレートについての詳しいお話もしていただきました。
本当に全部のチョコが美味しくて、普段スーパーに売っているチョコレート菓子とはまた別モノでした。
もちろんチョコレート菓子もおいしいのですが、ぜひ、その美味さは格別ですので、垣本シェフが運営されています、アッサンブラージュ・カキモトで味わってみてください。
イベントの参加者もスタッフ全員、垣本さんのチョコのファンになっていました。
垣本さんのチョコを味わった後は、イベントに参加してくださった子供たちとの交流会。
チョコレートと宇宙の研究は一見すると全く共通点が無いように思えますが、そうではありません。
みんなを楽しませたい、美味しいものを味わってもらいたい、そんな思いで、垣本さんはチョコレートを作っておられます。
また、榎戸先生は宇宙の謎を解き明かしたい!そのためには目に見えない宇宙線を見えるような装置を作らなくてはいけない。そんな思いで、宇宙線の観測装置を作っておられます。
どちらも、思いを形にしている。『モノづくり』という共通点があるのです。
今回は、このモノづくりをテーマに皆様と交流をしました。
榎戸先生のもとで研究をされている大学院生の鶴見さん、そして、研究員の辻さん、そして、ワトソンでマイクロピペッターやチップの開発を担当されている満留さんにも参加いただきました。
モノづくりに対する熱い思いは?10歳の自分に声をかけるなら?後悔したことは何ですか?のような、様々な質問が子供たちだけではなく、親御様からも飛び出していました。
ポスターで研究を知ろう!
イベントの最後には、もっともっと子供たちとの距離を近くした、ポスター発表や体験実験がおこなわれました。
ワトソンさんはマイクロピペッターを使用した人工イクラ作り体験。子供たちは真剣にイクラを作っていました。
一方井先生は、気軽に参加できるシチズンサイエンスについて、分かりやすく解説してくださっていました。
なんと、京都大学でなめくじを研究されている宇高先生も急遽参戦。子供たちからはたくさん質問がでており、時間になってもなかなか場所を移動してくれませんでした。それくらい魅力的なお話をたくさんしてくださっていたということです。
後日、生徒にイベントの話を聞くと、宇宙やチョコのことではなく、「あれからナメクジを探すようになってん」と聞きました。子供たちにとっても身近なサイエンスは、とても印象的だったのかもしれません。
辻さんや鶴見さんも、子供たちに分かりやすくそれぞれ「雷雲プロジェクト」について、「月の探査」について解説してくださっていました。
榎戸先生のところでは、ブラックホールについて、星はどうして光っているのか?などなど、とてもするどい質問がたくさん飛び交っていました。
さいごに
今回、ご協力くださった先生方や垣本さんは本当にお忙しい方々で、なんとかお願いしますと、1年近くお願いして、やっと実現したイベントです。
みなさん笑顔で無事に終えられたことにとてもほっとしております。
第4回となりまして、待ってました!と言って毎回参加を希望して下さる方や、とても遠方から参加くださった方が何人もおられます。
ここまで続けてこれて本当に良かったです。これからも子供たちにサイエンスをもっともっと身近なものにできるよう。そして、子供たちの選択肢を増やせるようなイベントを開催できるように努力してまいりたいと思います。
この場をお借りして、参加して下さった皆様、素晴らしい作品と、最高のチョコを用意下さった垣本さん、そして、お忙しい中、大変な準備をしてくださった榎戸先生、一方井先生、辻さん、鶴見さん本当にありがとうございます。
また、いつも一緒に科学教室をさせてくださっているワトソン株式会社の皆さんに感謝申し上げます。
本当にありがとうございました。
主催:ワトソン株式会社
協力:FabCafe Kyoto / MTRL KYOTO
Assemblages Kakimoto(アッサンブラージュ カキモト)
NPO法人須磨ユニバーサルビーチプロジェクト